豊胸バッグによるリンパ腫ALCL
ALCLは非ホジキンリンパ腫の1種で、リンパ節や皮膚などを含む様々な場所に発生しますす。
乳房に限局するケースは非常にまれと言われていますが、豊胸シリコンバッグを挿入している場合に頻度が高いと言われ話題になりました。
ただし、ALCLは、乳がんではありません。
ALCLは、被膜と豊胸シリコンバッグの間に溜まった「リンパ細胞を伴った水;漿液」の中に存在しています。必ずしも水が溜まっているからといって、イコール=ALCLというわけではありません。水はよく溜まっています。
ALCLの診断と症状
豊胸シリコンバッグ・インプラント関連の痛みやしこり、腫れなどの症状があります。
診断のきっかけとして最も多いのは、漿液(いわゆる水のこと)の溜まりが持続したために行われた豊胸バッグ入れ替え手術でわかることがあります。
漿液や瘢痕組織を採取して検査した結果、ALCLと判明。
(上記の症状を訴えるひとは多く、典型的症状もないようなので疑ってかからないと診断は難しいです・・・)
現時点では、インプラントの種類や植え込みの目的がALCLのリスクの高低に影響するかどうかは明らかではありません。
豊胸シリコンバッグを入れている場合のALCL頻度
米国で豊胸バッグをいれていないふつうのALCLと診断されるのは、1年間に約50万人に1人程度で、現在FDAが把握している、豊胸手術後にALCLと診断された症例は全世界に約60例ですが、正確には確認はできていません。
豊胸手術を受けた女性は、全世界に500万人から1000万人いると推定されています。(全例にしているわけでもないのであまりデータはあてにならないと思うが・・・もっと多い?)
1000万人に60例(50万人に3人)だとしても、通常のALCLの発生率に比べかなりの高い頻度(3倍)でALCLになることになります。
FDAは医療機関に要請し、豊胸バッグとの因果関係を調査
*アメリカ形成外科学会やその他の学会に所属する専門医とともに、乳房インプラントの手術を受け、ALCLと診断された患者のデータベースを作成。
*インプラント製造会社に協力を依頼し、手術を受ける女性にALCLリスクについての説明が確実に行われるよう、患者と医療従事者向けの表示を改訂。
(日本ではおこなわれていない)
*医療従事者に、乳房インプラントの手術を受けた後にALCLと診断されたあらゆる症例の報告を要請。また、術後時間を経てからインプラント周囲に漿液腫が認められた場合には、漿液を採取して専門的な検査機関に送付し、ALCLでないかどうか確認するよう要求。
*豊胸バッグを入れた患者は、異常がない限り特別な検査を受ける必要はなく、予防的な豊胸バッグ・インプラント抜去は不要で、これまで通りフォローアップしてもらえばよい。ただし、豊胸バッグ周囲に変化が認められた場合にはすみやかに受診する。
*これから豊胸手術を受けようと考えている女性には、リスクと利益について専門医と十分に話し合う機会を与える。
何回もしつこいようですが・・・
ALCLの兆候としては、
・腫れ
・インプラント周囲の痛み
・インプラント付近のかたまりらしきもの
・乳房の左右の違い
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