豊胸手術を受けた女性は、乳がんの診断が遅れがちに
豊胸シリコンバッグを挿入している場合、乳がんの発生率は豊胸バッグを挿入していない人より有意に高いということはありません。ただし、豊胸バッグを挿入していると乳がん検診をしない人が多いと言われています。そのため、乳がんの診断が遅れがちになるという報告がされています。
2000年以降のアメリカにおける報告をご紹介しておきます。
結論は、「豊胸シリコンバッグを挿入している場合、乳がんの死亡リスクは有意に高い」です。
アメリカで美容目的で行われた豊胸手術は、ここ10年間で増加の一途をたどっています。
その一方で、豊胸のために用いられた中身(シリコン)がマンモグラフィによる乳がん検診の妨げとなる可能性が指摘されています。
日本では、ほとんどの施設で豊胸シリコンバッグ・インプラントのマンモグラフィー検査の対象とはされていません。
乳がんなのに、豊胸シリコンバッグが破損して、漏れているだけであろうと安易に考えているひとも少なくないようです。
そのため、豊胸手術を受けた女性は乳がんの診断が遅れがちであり,乳がんによる死亡リスクは豊胸手術を受けていない女性に比べて有意に高いことが報告されています。
2000年以降の米国の徴さ報告では、豊胸手術をしている女性が、乳がんと診断されたときのステージと診断後の生存にどのように影響するかについて調査しています。
その結果、診断が遅れるリスク26%増,死亡は38%増という結果がでています。
豊胸手術を受けていない女性を基準とした場合,豊胸手術を受けた女性で乳がんの診断が遅れるのは、1.26倍のリスクが上昇します。豊胸手術を受けた女性の乳がんによる危険率(1.38倍)が有意に高いのです。
豊胸手術を受けた者において,乳がん診断や予後との関連性を明らかにするには,まだまだ調査が必要で、現時点ではあくまで警告レベルにとどめるべきとしています。
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